2023/10/23 22:42
FOLKのお洋服づくりは、まずFOLKのデザイナーがデザイン画を描き、作りたいイメージをパタンナーさんに共有します。
今回初めてお願いしたのが愛媛・大洲でパターン、縫製、補正などを生業にしているアトリエ・ヌートの青木みちこさん。
仕事の確かさはうわさでは聞いていたけれど、初めて依頼するときはいつだってビクビク、ドキドキです。
FOLKが作りたいものを感覚的にも理解してもらえるか、こればっかりはやってみないとわからないので。
2023年4月初旬、デザイン画をもとに今回のコレクションについて話し合いました。
みちこさんが製作したサンプルと対面したのがおよそ1カ月後。
その仕上がり具合に、震えました。
お願いしたサンプルは、オーソドックスなんだけれど、ミリ単位の線の違いで“良し悪し”が分かれてしまうアイテムばかり。
ところが、ジレのフィット感、ジャケットのゆったり感などなど、どのアイテムも直しがほぼ不要な理想的な仕上がり。
改めてプロってすごいと思ったし、なぜ、あの画でここまでニュアンスをつかめるのか、本当にふしぎでした。
みちこさんは、子どもの頃から手芸好きで、自然と縫製の道を歩んできたといいます。
高校を卒業後、大阪に本社があるプレタポルテ専門の縫製工場に勤めます。
取得に3年かかる国家技能試験を2年でパスしたほど、縫製の才と感覚を持ったみちこさん。
その後、若さゆえの回り道も経て、洋服の補正会社、布雑貨のパタンナーを得て、特別なオーダーが入るようになり、幅広く縫製、パターンの経験を積んでいきました。
みちこさんの経験則や直感が、初回のサンプルにすべて表れていました。
本番の生地は、かなりストレッチが効いていて、タテにもヨコにも伸びる高級生地。
その特性をつかむことも大変だったと想像します。
素材と向き合う姿を見てはいないけれど、一つ一つのやりとりに彼女のストイックさを感じました。
あたらしく生み出される洋服のために、自分が持っているエネルギー、手業、アイデアを120%出し尽くす。
そんなみちこさんがいなければ、今回のコレクションは行き詰まっていたと思います。
7年前、大洲城のふもとにアトリエを構え、オーダーメイド服やハードルの高いお直しなどを手がけながら、「縫製の技を愛媛に残したい」と洋裁教室も開いています。
今回のコレクションを通して、わたしたちは、みちこさんという存在をもっとたくさんの人に知ってほしいと、願っています。